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化学 (船山智代, 小川治夫, 吉原伸敏 113室)

化学関連の科目には以下に示す科目があります。
全ての科目を履修することが望ましいですが、最低限、「化学概論」「化学I(専門演習科目相当)」「化学Ⅲ」、及び必修の実験科目は履修して下さい。これらは、中学までの化学分野の大よそをカバーしています。
これらの科目は、巨視的(マクロ)な視点に基づいた化学です。そして可能な限り「化学Ⅱ」も履修して下さい。
「化学Ⅱ」は、現代化学の理解に必須なミクロな視点に基づいた初歩の量子化学です。この科目を履修することで、化学に対する視点が変わり、化学現象に対する理解が深まることでしょう。
化学も他の理科の分野と同様に、扱う内容が多岐に渡ることから、本専修における開設科目を全て履修してもようやく必要最低限の内容となります。また是非、授業で学んだ内容を起点として、自主的に積極的に学修を継続して欲しいと思います。

化学の学び方
 化学は「物質の科学」としての特徴を持ちます。新規の化学物質は日々増えており、それに伴い扱う化学現象も増えます。化学は暗記科目と言われることが多いようですが、そう言われる所以は取り扱う物質が膨大であることに依るのかもしれません。しかし、化学は本来、論理的に体系だった学問分野です。確かに高等学校までは元素記号を覚えるなど、覚える事柄は多かったかと思います。その理由として、覚えるべき内容とされた概念や事柄の背景の説明を、高等学校レベルでは高度で難しいとして行っていないことが考えられます。これは高校化学の教科書の問題とも言えますが、近年、改訂により「発展」にその内容が少しずつ取り上げられ状況は変わりつつあります。
 大学における化学では、高校まででは単に覚える事柄とされた内容を、原理に基づき数値・数式を用いて説明していきます。また授業では、分子軌道計算ソフトを用いて原子・分子を可視化することも試みます。頭の中で、原子と分子が自在に動き回る姿をイメージできる様になることは、皆さんが化学現象をマクロな視点とミクロな視点で捉える助けになることでしょう。是非、化学現象の理解を支える概念について、深く学んで下さい。

化学概論(船山)

化学分野全般の内容を取り上げますが、中でも化学の基本的な概念・定義、および化学量論的法則を理解することを重視しています。目標は、物質が関わる反応や平衡状態について、基本的な概念・定義・化学量論的法則に基づき説明できること、物質を化学的観点に基づき分類できることです。また授業外学修として、人間生活との関連から広く科学技術に関する知識を得る為、日本科学未来館など外部施設の展示内容を取り入れた課題にも取り組みます。なお、外部施設の利用は、新型コロナウィルスの感染状況を踏まえて判断します。

化学Ⅰ,専門演習科目 相当 (吉原)

有機化合物を形づくる基本骨格や、官能基の性質、および有機化合物の反応について学びます。これらを理解すれば複雑な化合物の化学的性質も理解できます。この授業では、まず有機化合物の基本的な構造と種類・立体構造とその物理的・化学的性質について解説します。また、アルコールなどいくつかの官能基を含む有機化合物の合成法、反応性についても概説します。目標は、様々な有機化合物の構造・化学的性質・物理的性質が理解できるようになること、有機化合物の反応がどのように進行するかを有機電子論の観点から理解できるようになることです。

化学Ⅱ(船山)

現代化学の基盤となる考え方である「量子化学」の基礎について学びます。化学の中心を成す概念である「分子」に焦点をあて、原子から分子が形作られる際に生成する化学結合や分子の電子状態について、量子論に基づく量子化学の観点から説明します。量子化学は化学現象の原子・分子レベルでの理解に繋がる重要な概念であり、その基礎の理論を学ぶことにより、分子の構造および物性を知るのに欠かせない分子分光法についても理解できるようになります。最初は慣れない概念に、ややとっつきにくさを感じるかもしれませんが、そこでひるまず、化学結合についての理解を刷新して欲しいと思います。

化学Ⅲ(小川)

「化学熱力学」と「反応速度論」の分野を学習します。共に、原子・分子の集団としての挙動や性質を取り扱います。化学熱力学は、巨視的な現象の科学であり、身の回りの科学とも言えます。熱力学では、熱を形態とするエネルギーを多数の分子集団のもつエネルギーとして取り扱うことについて学びます。熱化学では、物質の状態変化や化学変化とエネルギーの関わりについて学びます。反応速度論では、分子集団として物質(化学種)の量の変化を時間の関数として表現する方法について学びます。「化学Ⅱ」の内容との関連についても、是非考えてみて下さい。

化学実験基礎,化学実験A,化学実験B(船山)

3年次に基礎的な内容の化学実験を行います。「実験基礎」と「実験A」は、ペアで履修します。この2科目は「無機化学」・「分析化学」・「物理化学」・「有機化学」と応用分野である「環境化学」で構成しており、化学の基幹分野の内容を大よそ網羅しています。「実験B」は基幹分野の「物理化学」の内容を中心に「環境化学」と「生命化学」の内容も扱い、やや発展的な内容を含みます。なお、「環境化学」は、「実験基礎」では越谷市の大気環境汚染物質データを用いて解析を行い、「実験B」では大学周辺の環境汚染物質NO2濃度の測定と解析を行います。 いずれの実験科目とも、すべての実験を行い、レポートと実験ノート、廃液管理用紙を提出する必要があります。公的な理由による欠席と病欠の場合は、証明書(もしくはそれに準ずるもの)の提示をもって、別日に追加実験を実施します。各自、自己管理をしっかりして履修して下さい。 「実験基礎」と「実験A」は月曜の3限4限の二時限連続で、「実験B」は隔週で木曜の3限4限の二時限連続で行いますが、実際には全ての実験課題を終えるには、5限まで時間を要することがあります。予習を行うことで実験の主旨を理解し実験できます。それにより、実験を安全に、早く、正確に行うことができ、必然的に実験時間が長引かなくなります。また、復習は、実験内容の理解を深め、レポート作成にも役立ちます。是非、予習・復習を心がけて取り組んで下さい。

教科教育法『理科』I(船山)

半期の授業の前半では、中学校・高等学校理科における化学領域の指導に必要な基礎的知識(物質の取り扱いと管理方法、安全指導、データベースの活用等を含む)について学びます。後半では、班に分かれて各班で化学分野に関してテーマを設定して学習指導案を作成し、模擬授業を行います。履修者は全員必ず先生役を体験します。授業後は、授業者と生徒役で互いに授業とその内容について評価し合い、授業の改善点や改善策を見出します。また、探究活動と実践研究の動向について調べ、授業計画の参考にします。