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地学(山縣朋彦,久田健一郎、125室)

地学関連分野には以下に示す科目があります。地学分野の特性上、全ての科目を履修することが期待されています。

地学の学び方
 地学分野は自然界の現象を扱います。高等学校では理科の「地学」、中学校では理科「第2分野」の一部の「地学的な事象・現象領域(大地の成り立ちと変化、気象とその変化、地球と宇宙)」、小学校理科では、「生命・地球」分野の「地球領域(地球の内部、地球の表面、地球の周辺)」、として扱われています。これらは、宇宙を扱う天文学分野、地質鉱物や火山地震等を扱う固体地球分野、天気・気象等を扱う気象海洋分野の3領域に分類できます。初等中等教育(小中高等学校教育)において、「地学」という概念で一括りにされているこの3領域は、学術研究の立場から言うと、隣接分野で関連はありますが、別のものとして認識されています。従って、研究者の意識としては「地学」という形で、学問分野をまとめることは通常ありません。(更に言うと、学術領域は、この3領域以上に細かい領域に細分されることがあります。)
 あらゆる学問には共通した基礎があることは確かなことですが、学問分野には、それぞれの特性に応じた基礎概念があります。地学分野は、異なる研究分野の寄せ集めと言うこともあり、学術的特性が異なるものが混在しています。従って、1つの講義科目、一人の担当者で、全ての分野の基礎を網羅することは事実上不可能です。そこで、地学研究室では、専任の山縣が天文学分野、非常勤の久田が地球科学分野を分担しています。また、カバーする内容が多岐にわたるので、学生には、開設している全ての講義科目、実験科目を履修することが期待されています。
 地学分野はどの領域でも、多くの場合、数学、物理学、化学等の基礎概念を自然現象に適用し、現象を理解していくというプロセスを取ります。その中でも特に、微分積分を初めとした数学や、力学、電磁気学の概念は必須です。その意味では、地学は物理学の応用と言っても過言ではありません。

地学Ⅰ(山縣)

自然科学において必要な最低限の数学を扱います。自然科学探究には、分類やスケッチなどによる観察をはじめとする、感覚的ないしは、定性的な理解は、基本的な作業として大事なものです。しかしながら、定性的理解だけでは、自然科学を正しく理解し、理科教員として、その内容をかみ砕いて、他者に教え伝えることは出来ません。そのためには、自然科学をある程度は、理論的、定量的に理解しておくことが必要です。また、実験観測データを取得しそれを解釈するには、数学的取り扱いが不可欠です。本講義では、これらのために必要な最低限度の基礎数学を扱います。主として、極限、常微分、偏微分、積分、多重積分を概観する予定です。余裕があれば、線形代数(ベクトル、行列等)、および統計学他に触れます。扱う内容に対して、十分な講義時間は取れませんので、十分に復習し、自主的に演習問題を解くことを期待しています。

地学概論(山縣)

宇宙を理解する上で必要な天文学の基礎事項を扱います。前半では、天文学特有の等級、パーセク(pc)等の単位系、天球と座標の概念、天体距離測定等の基礎事項を解説します。続いて、HR図を中心に恒星の構造や進化を概説します。

地学Ⅱ(久田)

固体地球領域の基礎概念を扱います。宇宙の構成天体のひとつとして、地球はどのような惑星なのか、他の惑星との比較を通して、その特徴を概観していきます。さらに、地質・鉱物、プレートテクトニクス、火山、地震の概説を通じて、地球はどのように誕生し、どのように進化してきたか。そして、現在、どのような状態にあるのかを考えていきます。

地学Ⅲ(久田)

気象海洋領域の基礎概念を扱います。地球大気の構造と大気の運動による、気象変化のしくみについて考えます。さらに、現在問題となっている気候変動(地球温暖化)についても触れていきます。

専門演習C(山縣)

地学基礎に引き続き、恒星の構造と進化からはじめて、銀河系や銀河、宇宙を扱います。恒星集団である銀河や、銀河の集団である銀河群や銀河団などを通じて、宇宙の階層構造、および宇宙の歴史の概略を取り扱います。この科目はカリキュラム改定以前は「天文学概論」として開講されていたものです。講義形式で行うことを原則としますが、状況によっては、ゼミ形式で輪講で進めていくこともあります。

地学実験基礎(山縣)、地学実験A(久田)

「地学実験基礎」は、天文学に関する実験・実習・観測を行います。コンピューターによるデータ解析・画像処理や表計算ソフト・データ解析ソフトによる簡単なプログラミングも扱います。「地学実験A」は、地質図および岩石鉱物に関連する実験・実習・観察を行います。毎回実験の後には、原則として翌週までに、報告書をレポートとしてまとめてもらいます。
「地学実験基礎」と「地学実験A」はペアーで開講します。開講時間は同じ時間で、交代で開講しますので、担当者、単位認定は別ですが、実質的には1つの科目であると考えて下さい。月曜の3限4限の二時限連続で行いますが、実際には作業完了までには、5限またはそれ以上要することもあります。

地学実験B(山縣)

天文学に関する観測・解析実習です。集中講義として、8月中に3泊4日の予定で実施します。長野県木曽郡の研究施設(天文台)において、寝食を共にする合宿形式での実習です。内容はコンピュータによる画像処理、及び、プログラミングや表計算ソフト・データ解析ソフト等による解析です。また、天候他の条件が合えば、105cmシュミット望遠鏡に取り付けた最新の観測装置を使って、観測実習を行います。実施場所は、研究機関の施設です。従って、研究者以外の一般の人の夜間の立ち入りは、通常許されない場所での希有な体験となります。なお、本実習は複数の大学による合同実施で行う、アクティブラーニング形式のものです。実習は大学混成で2〜3人/1グループの編成で、各グループ毎にテーマを決め、集中的に解析作業を進めていきます。最終日には全員で成果発表会を行います。

教科教育法『理科』Ⅲ(山縣)

この科目では、最初に、気象関係の実験を行います。その後で、地学分野全般での模擬授業を行います。5〜6班にわけて、地学分野全般にわたって各人が調べてきた内容の発表を行ってもらいます。地学分野は扱う内容が多いので、各内容のエッセンスは何かを考えて発表して頂きます。最終的には、将来、皆さんが地学分野で授業を担当するときに、役立つような授業ノートを作成し、提出してもらいます。また、時間の余裕があるときには、プログラミング教育の基礎となるコンピュータや、ソフトウェアの基礎にも触れる予定です。